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大阪高等裁判所 平成5年(行コ)2号 判決

神戸市北区鈴蘭台南町2丁目12番22-304号

控訴人

成和工業株式会社

右代表者代表取締役

福﨑敏和

神戸市兵庫区水木通2丁目1番4号

被控訴人

兵庫税務署長 上村武一

右指定代理人

小野木等

竹田優

西教弘

久保日出夫

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  控訴人の昭和64年1月1日から平成元年12月31日までの事業年度分の法人税について,被控訴人が平成2年6月25日付でした所得金額を金6,176,633円,税額を金1,816,100円とする更正処分のうち,所得金額につき金1,049,631円,税額につき金314,700円の部分を取り消す。

二  事案の概要

原判決の「事実及び理由」欄の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。

三  争点に対する判断

次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第三 争点に対する判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。

1  5枚目裏3行目の「資本の充実・蓄積等」を「資本の蓄積」に改め,6枚目表4行目の「,このことは」から同6,7行目の「推知することができ」までを削り,同8行目の「原告は」の次に「,そもそも措置法62条は商法上の資本充実・維持の原則とは何ら関係がなく」を加え,6枚目裏1行目及び同2,3行目の「算入される」を「算入されない」に,同4行目の「促進ではない」を「促進ではなく,単に課税所得の減少を防止しようとするものである」に,同6,7行目の「冗費濫費を抑制し,資本の充実維持を図る」を「冗費濫費の抑制を図るとともに,それによって間接的に資本の蓄積を促進することをも目的としている」に改める。

2  9枚目裏7行目から14枚目表7行目までを次のとおり改める。

「そして,法人が従業員の慰安の目的で社外の飲食店で酒食の提供費用を支出した場合にも,右の飲食の機会が従業員全員の参加を予定したものか,それとも従業員の一部のみを対象としたものかということのほか,開催の場所,出席者一人当たりの費用,飲食の内容,回数等を総合的に判断して,その飲食が,措置法62条3項括弧書きの「運動会,演芸会,旅行等」と同じように従業員の慰安のために相当なものとして通常一般的とされる範囲内のものであるときは交際費等に該当しないが,右の限度を超えるときは交際費等から除外されるものではないというべきである。

そこで,右の見地から本件支出を検討すると,本件支出は,いずれも従業員の全員を参加対象とせず,一部の従業員のみを参加対象(控訴人の主張によれば参加人数は最大で20名,最小で2名,大部分は7名以内の少人数である。)として社外の居酒屋,中華料理屋,焼肉店,寿司屋,割烹店等で行われた懇親会等に係るものであり,回数も平成元年3月から同年12月までの間に53回という多数に及んでいるものであり,右事実にかんがみると,1回当たりの金額がそれほど多額ではなく,1人当たりの費用としては必ずしも多額といえないことを考慮に入れても,法人において負担するのを相当とするような従業員全体の福利厚生のための支出とみることは到底できない。」

3  14枚目表8行目冒頭の「(四)」を削り,同10行目の「同様であり」の次に「,控訴人は,従業員の就労部署ごとに巡回的に酒食を提供して慰労を行ったものであり」を加え,同枚目裏5行目の「場合」の次に「(弁論の全趣旨によれば,控訴人は,常時,その契約先の十数社の企業に従業員を派遣して,多数の就労部署で業務に従事させていることが認められる。)」を加え,15枚目表7行目の「一部の従業員に対してのみ」を「前記認定のような形態で」に改め,同枚目裏2行目冒頭の「(五)」を削る。

4  16枚目5行目冒頭の「4」を「3」に,17枚目裏8,9行目の「内容等が帳簿上明らかになっておらず」を「内容等を明らかにする証拠もなく」に,18枚目表5行目冒頭の「5」を「4」に改める。よって,原判決は結論において相当であり,本件控訴は理由がない。

(裁判長裁判官 中川敏男 裁判官 北谷健一 裁判官 小松一雄)

〈以下省略〉

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